松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
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当院で経験した生後3ヵ月未満の発熱症例の検討
藤本 正伸田本 直弘岡本 学田中 雄二
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2010 年 14 巻 1 号 p. 59-62

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抄録

2008 年1 月1 日から2008 年12 月31 日までの期間において、松江市立病院(以下、当院)小児科外来・救急外来に受診し、生後3ヵ月未満の発熱のため入院加療を必要とした86 例について、発熱から初診までの経過時間、血液検査結果、白血球数、CRP 値からの感染原因の推定、感染原因菌、などについて後方視的検討を行った。この期間における外来からの総入院患者数は822 例あり、うち86 例(10.5%)が生後3ヵ月未満の発熱患者であった。ここでは、経過中に認めた最高のCRP 値2.0mg/dl 以上で、抗菌薬への反応が良いものを細菌感染群とし、それ以外のものを非細菌感染群と定義したところ10 例(11.6%)が細菌感染群に該当した。細菌感染群は生後0-30 日までが5 例と多かった。症状については、発熱のみが36%で最多、咳嗽が26%、哺乳力の低下が20%と目立った。Not doing well を認めた症例は、細菌感染群で3 例に認めたが、非細菌感染群でも約3 割にNot doing well を認め、細菌感染の指標にはならないと考えられた。家族内に感冒症状等の症状を認めた家族感染症例の頻度を検討した結果、細菌感染群では40%、非細菌感染群では64.5%であったが、統計学的有意差はなかった。真の重症細菌感染症の頻度は低く、約9 割は非細菌感染群でウイルス感染が主体と考えられるが、病歴、症状、検査値等から細菌感染の有無を判断することは困難と思われた。そのため、低月齢ではfull sepsis work-up を施行し、積極的に抗菌薬を用いた治療を行うべきと考えられた。

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