抄録
胆嚢癌は進行した状態で発見され、外科的切除に至らない症例が未だに多い疾患である。早期の段階において症状や血液検査では特異的な異常所見を認めず、現状で有用とされるのは画像診断のみである。今回、当院で経験した切除胆嚢癌11 例(13 病変)について背景因子、画像診断、病理組織学的検討、術後の予後について検討を行った。平均年齢は67.7±12.7 歳(42~88 歳)で、男女比は2:9 で女性に多く認められた。発見契機は検診2 例、有症状5 例、他疾患加療中(胆石・胆嚢炎)の発見が4 例であった。組織学的深達度はm:23.1%(3/13 病変)、mp:7.7% (1/13 病変)、ss:61.5%(8/13 病変)、se:7.7%(1/13 病変)であった。11 症例の術後生存期間中央値は1265 日(518~2173 日)であった。深達度評価は体外式腹部超音波(US)、CT、MRI で行ったが、術前と術後の一致率は70%(7/10 病変、 m:1/1 病変、mp:1/1 病変、ss:3/6 病変、se:1/1 病変)であった。造影US やMRI による拡散強調像なども胆嚢癌の存在診断に有用であった。US、CT、MRI などを駆使して、長期予後が期待できるような早期胆嚢癌、pT2(ss)症例を可能な限り早期発見し治療に結びつける事が重要である。