抄録
1990 年に腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy : LC)が報告されて以来、4 つのポートを使用した手技は広く普及し、胆嚢摘出術における標準術式として定着している。一方2008 年に単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(single incision laparoscopic cholecystectomy : SILC)が報告されて以来、本邦でも徐々に普及しつつある。今後SILC を標準術式とするには、従来のLC に匹敵する安全性・利点が証明されなければならない。我々は当院で施行したSILC と従来法で行ったLC について臨床所見および検査所見を比較し、SILC の安全性・利点などにつき検討した。2009 年10 月から2011 年10 月までの2 年1 か月で当院ではSILC 60 例を施行した。そのうち、技術が比較的安定した最近の25 例と、同時期に行われた通常のLC 25 例を対象とした。患者背景として年齢、性別、body mass index(BMI)、術前血液検査値について、手術所見として手術時間、出血量について、術後成績として術後在院日数、術後疼痛、合併症の有無について比較検討した。術後疼痛の評価は鎮痛剤の使用回数を基準とした。手術時間はSILC 群の方が短く、出血量もSILC 群で少なかった。術後在院日数、術後疼痛、合併症の有無は大差なかった。SILC はLC と比較し、術後在院日数や術後疼痛、合併症の観点からは大差がなかったが、手術時間・出血量において優れた成績を残した結果であった。SILC はLC と比較して遜色ない安全性をもたらしていると考えられ、当院ではSILC を推奨していく方針である。