抄録
松江市立病院で1991 年から行われたバセドウ病手術症例89 例を検討した.症例は女性65 例,男性24 例であった.平均年齢は40.4 歳であった.手術法は2010 年から被膜下甲状腺亜全摘から全摘・準全摘へと意図的に変えた.出血量に大きな変化はなかった.しかし,全摘・準全摘は手術時間の短縮にはつながった.2002 年から皮膚切開を3 cm 程度の小切開に変えたが,意外にも当時から急激に進んだ医療器具の開発により,手術時間の短縮と出血量の減少に大きく貢献することが判明した.手術時間と出血量の間に相関はあったが,強い相関関係には無かった.良性疾患であるバセドウ病に癌は7 例(7.9%)合併していた.術後合併症では一過性の反回神経麻痺3 例,緊急止血手術を要した後出血は2 例あり,バセドウ病手術が時に生命の危険を伴うことを周知させる必要がある.