松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
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急性腎障害を来したYersinia pseudotuberculosis 感染症の1 例
辻 靖博掛江 壮輔岡本 学田中 雄二
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 22 巻 1 号 p. 81-84

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抄録

エルシニア感染症は,主に動物の糞便に汚染された沢水や井戸水から人へ感染する人畜共通感染症であるが,中でもYersinia pseudotuberculosis(以下Y. pstb)は川崎病様症状を呈したり,しばしば急性腎不全を合併し重篤となることが知られている.今回胃腸炎症状からはじまり川崎病様症状も呈し,さらには急性腎障害を合併した7 歳の男児例を経験した.問診にて神社の生水を飲水した可能性が判明したため,Y. pstb 感染症を強く疑い抗菌薬投与のみにて経過観察したところ,腎不全徴候も自然軽快した.最終的に抗体検査によりY. pstb と診断し得た.腹痛,下痢などの消化器症状が前面にあり,急性腎障害を伴っていた場合,Y. pstb 感染を念頭に問診,検査,加療していくことが必要と考えられた.

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