抄録
症例は62歳,女性.局所進行上部直腸癌に対して術前化学療法施行後に腹腔鏡補助下Total mesorectal excisionを施行した.術後経過観察中に右側閉鎖リンパ節転移を診断し,術前化学療法施行後に後腹膜アプローチで右側閉鎖リンパ節郭清を施行した.病理学組織学的完全奏効であった.右側閉鎖リンパ節に関して遡及的に画像検討すると,同リンパ節の腫大は初回治療前から認められ,治療経過中の画像変化が臨床診断に有用であった.本症例は,上部直腸癌の側方リンパ節転移であり,初回治療前の転移診断と側方郭清に迷った症例である.臨床経過を報告し,反省の意味も込めて若干の文献的考察を加えて報告する.