抄録
目的】呼気ガス分析装置を使用した直接Fick法と推定値を用いた間接Fick法による心拍出量を比較検討すること.
【方法】対象は心臓カテーテル検査時に心拍出量測定を実施した心内短絡疾患や重症三尖弁閉鎖不全を含む16例(年齢67.5±14.5歳,男性9例,女性7例).呼気ガス分析装置による直接法とLaFarge-Miettinen法および3.0×体重(kg)の予測式による間接法で酸素消費量を測定し,それぞれ直接Fick法と間接Fick法で得られた心拍出量についてBland-Altman分析より相関およびbiasの一致度について検討した.
【結果】酸素消費量は直接法が間接法よりも高い傾向であり,相関および一致度は不良であった.心拍出量も同様に相関および一致度は不良であったが,高心拍出量になるほどbiasが大きくなる傾向が認められた.
【結語】間接Fick法による心拍出量の測定は直接Fick法と一致度が不良であり,その解釈には注意が必要である.心肺運動負荷装置のガス分析機能を用いた酸素消費量の直接測定は1呼吸ごとの測定で測定期間中に変動することや,心臓カテーテル検査時の測定は必ずしも安静仰臥位として予想される酸素消費量に一致しないことに留意する必要があると考えられる.