松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
褥婦におけるスマートフォン利用状況と心身の状態の関連
~入院中と産後1ヵ月時の比較~
徳村 麻弥峰谷 沙也佳金井 眞理子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 25 巻 1 号 p. 13-20

詳細
抄録

スマートフォン(スマホ)の長時間の利用が産後の心身の健康に影響を与えることが懸念されるが,これについての研究はない.【目的】出産のための入院時にスマホについての適切な指導やアドバイスを行うために,褥婦におけるスマホ利用と心身の状態の関連を明らかにすること.【対象と方法】当院に出産のために入院した81名を対象に無記名自記式アンケート調査を行った.【結果】スマホ平均利用時間は入院中が179.8分,出産1ヵ月後が142.0分.平均睡眠時間は入院中が179.8分,出産1ヵ月後が300.0分.エジンバラ産後うつ質問票(EPDS)は入院中,出産後1ヵ月それぞれ7例が産後うつリスク群となる9点以上であった.スマホ依存症リスク群であるスマホ利用時間が4時間を超える症例では入院時の身体不調症状多数群と有意な関係が認められた(p=0.0133).スマホ・睡眠比が高い群は産後うつリスク群と入院時(p=0.0357),出産後1ヵ月(p=0.0248)と有意な関連が認められ,EPDSスコア9点以上はスマホ・睡眠時間の比の0.4(入院時)および0.5(出産1ヵ月後)に対応した.【結語】スマホの利用は睡眠とのバランスが重要であり,睡眠時間に比してスマホを長時間使用することが産後うつハイリスクスと関連しており,スマホ・睡眠時間の比は産後のメンタルヘルケアに関する指導やアドバイスに有用な指標である可能性がある.

著者関連情報
© 2021 松江市立病院
前の記事 次の記事
feedback
Top