抄録
69歳女.眼窩部はCTでは,充実性腫瘍を認めた.造影CTでは腫瘍内の辺縁に造影効果があり,中心部は殆ど造影されなかった.201Tl(タリウム)-SPECTでは腫瘍に201Tlの集積が強く,悪性が疑われた.Lateral approach(Kroenlein法)にて腫瘍を皮膜ごと全摘出した.組織所見により,良性涙腺多形腺腫と診断された.免疫染色(上皮膜抗原,α-smooth muscle actin,vimentin)により,上皮成分,間葉系成分の存在を確認した.造影されなかった腫瘍中心部ではヒアリン変性がみられた.現在再発なく,経過観察中である