抄録
ロタウイルス胃腸炎の臨床像について検討した.対象は,2003年1月~2004年6月に便ロタウイルス抗原陽性を確認した小児の入院症例57例とした.1歳代が27例(47.4%)と最も多く,入院月は2003年,2004年ともに3月,4月にピークを認めた.経過中にみられた主な症状は,全例に下痢を認め,嘔吐93.0%,発熱89.5%が続いた.重篤な合併症をきたした例はなかった.血液検査では,白血球数やC反応性タンパクの変化は軽微であった.グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼは,グルタミン酸ピルビン酢酸トランスアミナーゼよりも優位に上昇していた.尿素窒素は年齢に対して高値を示すものが多かった.クレアチンキナーゼ(CK)高値の症例にCKアイソザイム検査を行ったところ,MM分画陰極側にextrabandが5~19%の割合でみられ,ミトコンドリアCKと考えられた.