抄録
41歳男.右下腹部に軽度の圧痛と膨隆を認めた.白血球数93×10^2/μl,C反応性タンパク9.4mg/dl,癌胎児性抗原(CEA)1.8ng/mlで,CTで右下腹部から右側腹部,正中へと続く腫瘤病変を認めた.開腹すると,虫垂周囲にはゼリー様粘液物質を認め,更にダグラス窩と大網にも同様のゼリー様物質を認め,大網は腫瘤を形成していた.回盲部切除,大網切除術を行い,切除後は生理食塩水による腹腔内洗浄と閉腹時にマイトマイシン C(MMC)腹腔内投与を行い,術後にはフルオロウラシル内服とMMC静注を行った.病理組織所見で,虫垂内腔に乳頭線管状に増生する高分化腺癌を認めた.術後経過は良好であったが,術後5年目現在,術後から認めていた少量の偽粘液腫を腹腔全体に認めるようになった.CEAの上昇もみられ,再手術を考慮中である.