薬局は医療用医薬品,医療材料を患者に供給する最終ゲートキーパーの役割を担っている。そのことは,医薬品適正使用の最終責任を負うことでもある。今その責任範囲は拡大し,第 13 改訂調剤指針では,患者に薬剤を交付した後も,その後の経過の観察や結果の確認を行い,薬物療法の評価と問題を把握することが調剤の概念であるとの見解が示された。つまり,患者に薬剤を交付した後に発生する医薬品による有害事象,副作用の察知はもちろんのこと,コンプライアンス不良,薬剤の変更,治癒,中止といった問題を把握すると同時に,その対応にも関与していく必要がある。そのことは当然のことながら,患者宅で発生する医薬品廃棄物 (医療系廃棄物) についても,積極的に関与していくことが必要な時代になったということを意味する。特に在宅医療が推進されている現在においてはなおのこと,その実効性が期待される。本稿では 10 年ほど前から使用済み注射針,家庭内不要薬の回収廃棄事業を,自治体と一緒に取り組んでいる川崎市薬剤師会の事例を紹介しながら,今後の薬局機能の展開について考察する。