抄録
本稿では,改正環告 13 号試験における金属類の分析において,留意すべき点について概説する。まず,溶出液のろ過に使用されるろ過材の材質が金属類の分析値に与える影響について,ガラス繊維ろ過材,セルロース混合エステル性メンブランフィルター,親水性 PTFE フィルターを用いて比較を行った。その結果,ばいじんや下水汚泥焼却残さ溶出液ではろ過材の材質による分析値の違いはあまりみられなかったが,有機物を高濃度に含む下水汚泥溶出液では,親水性 PTFE フィルターでろ過が困難であり,また他のろ過材と比較して明らかに金属類の濃度が低濃度となった。これは,溶出液中の有機物が親水性 PTFE フィルターの表面に吸着し,有機物と錯形成をするような元素がろ過により除去されたためであると考えられる。また,誘導結合プラズマ発光分析法および誘導結合プラズマ質量分析法を廃棄物分析に適用する際の干渉や,その対策法についても概説した。