抄録
廃棄物処理法では,市町村に一般廃棄物の適正処理を義務づけている。ただし,市町村規模には大きな差があり,小規模町村も一方で多数存在している。本稿では,地方の小規模自治体における一般廃棄物処理の現状について長野県を事例に把握し,抱える課題を検討した。いくつかの町村では,廃棄物専従の職員を置くことすら困難であり,高度化・多様化する廃棄物行政への対応に苦慮している。一方,収集・中間処理・最終処分の民間委託や広域化が進んでいる。特に,焼却処理の広域化が進むとともに,最終処分は県外の民間処分場に依存している。収集・中間処理・最終処分が別々の主体で行われ,かつ町村の関与が低下していることで,処理責任が曖昧になり,減量化や循環利用にも支障をきたすことが懸念される。廃棄物処理が高度化・複雑化する現在,一般廃棄物処理の責任や主体について再検討する時期にきていると考える。