廃棄物資源循環学会誌
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25 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
特集:廃棄物行政現場からの発信
  • ――行政研究部会のみた廃棄物行政現場――
    溝入 茂
    2014 年 25 巻 6 号 p. 393-395
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
  • 藤波 博
    2014 年 25 巻 6 号 p. 396-404
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    家庭で使用され不要となった乾電池,蛍光管等について,市町村は有害ごみとして分別排出させ,収集運搬することが広く行われている。一方,塗料や農薬等有害性をもつ物質については,適正処理困難物として排出禁止物に指定して除外していることが多く,住民は塗料や農薬を使い残した場合に,どこで処理したらいいのか困っている。これら塗料や農薬等は各種化学物質を含有する製品であり,これらの処理方法についての市町村の対応は十分であるとはいいがたい。欧米では,地下水汚染への強い危機感から,有害物質を埋立から除外することとされており,これらの製品を家庭系有害廃棄物 (Household Hazardous Waste,以下,HHW という) と呼び,廃棄物管理を徹底している状況がある。
      本稿では,北海道大学大学院 松藤敏彦教授が代表研究者として,HHW に関する研究・調査 【環境研究総合推進費補助金 (K113023) 総合研究報告書】(2011~2013) を実施していることから,これらの研究報告書等を参考に市町村の処理責務とHHWについて考察する。
  • ――リサイクルを中心に――
    山本 耕平
    2014 年 25 巻 6 号 p. 405-412
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    わが国の廃棄物・循環関連法は,循環型社会形成推進基本法のもとに廃棄物処理法,資源有効利用促進法を置き,その下に個別リサイクル法があるという構図になっている。しかし各法律は用語の使い方や定義が異なるなど,法律間の連携が図られていない。再使用,再生利用,熱回収という処分の優先順位の判断基準が曖昧で,特にプラスチックについては統一的な考え方が必要である。また国際的な資源確保競争を視野に入れた国内循環の仕組みを構築していく必要があるが,現在の法制度では不十分である。国内循環のためには事業者に再生製品化についての責務を定めるべきである。集団回収や店頭回収等,回収ルートの多様化への対応も課題である。民間の活力を活かしたリサイクルの効率化を図るためには,規制の見直しや静脈産業の法的位置づけが必要で,民間をチェックするためには自治体にもっと権限を下ろすべきである。
  • 川嵜 幹生
    2014 年 25 巻 6 号 p. 413-419
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (廃棄物処理法) は,循環型社会形成のための法体系の中で,廃棄物適正処理を推進するという重要な役割がある。廃棄物処理法は適正処理を推進するための規制法という側面があり,廃棄物処理処分に係るさまざまな問題に対応するため徐々にその規制は強化されている。近年の不法投棄件数の減少をみると,廃棄物処理法が効果的に運用されていると考えられる。一方,この規制は建設混合廃棄物の処理から生じるふるい下残さの再生利用の道を阻んでいるため,ごみから資材への転換は長年の懸案となっている。この懸案に対し建設汚泥の再生利用推進の取り組みは参考になる。廃棄物処理業者,土木・建設工事業者および関係行政機関が協力して取り組めば,解決できる可能性はある。しかし,一番重要なことは,ごみではなく資材を扱い,商品を製造しているという意識を構築することである。
  • 北村 亨, 溝入 茂
    2014 年 25 巻 6 号 p. 420-423
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
  • 岡山 朋子
    2014 年 25 巻 6 号 p. 424-429
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    2012 (平成24) 年度,合計 12,000 tonもの愛知県等が排出する下水汚泥と食品メーカーの動植物性残さを,豊橋市にある産廃処理事業者の T 社が堆肥化処理し,そこで生産された 6,500 tonの汚泥発酵肥料が田原市の農地に搬入され,近隣農家から田原市に悪臭の苦情が寄せられた。この事例について,法制度面から検証を行ったところ,どこにも違法性はなく本件の下水汚泥等の産業廃棄物の処分に関しては合法的に行われていることがわかった。しかしながら,本件における下水汚泥等のリサイクルは真に循環利用されているといえるかどうか疑義が生じる。そこで本稿では,この事例について詳細に事実関係を報告し,有機性廃棄物の適正処理とは何かを考察する。
  • ――長野県の事例――
    栗島 英明
    2014 年 25 巻 6 号 p. 430-438
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    廃棄物処理法では,市町村に一般廃棄物の適正処理を義務づけている。ただし,市町村規模には大きな差があり,小規模町村も一方で多数存在している。本稿では,地方の小規模自治体における一般廃棄物処理の現状について長野県を事例に把握し,抱える課題を検討した。いくつかの町村では,廃棄物専従の職員を置くことすら困難であり,高度化・多様化する廃棄物行政への対応に苦慮している。一方,収集・中間処理・最終処分の民間委託や広域化が進んでいる。特に,焼却処理の広域化が進むとともに,最終処分は県外の民間処分場に依存している。収集・中間処理・最終処分が別々の主体で行われ,かつ町村の関与が低下していることで,処理責任が曖昧になり,減量化や循環利用にも支障をきたすことが懸念される。廃棄物処理が高度化・複雑化する現在,一般廃棄物処理の責任や主体について再検討する時期にきていると考える。
  • 渡辺 浩平
    2014 年 25 巻 6 号 p. 439-444
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    本特集における日本の廃棄物制度について相対的な視点を提供するため,イギリスの廃棄物制度について概説した。現在のイギリスの廃棄物制度の根幹は 1990 年環境保護法であるが,日本と同様数多くの改訂を経ており,かなり複雑な様相を呈している。イギリスの制度で特徴的な点は地方自治体による都市ごみ収集処理処分が市レベルでの収集当局と県レベルでの処理処分当局の二段構えになっていることと,経済的インセンティブを用いた制度が多用されていることである。
研究報告
  • ――歴史資料から読み解く現代社会への示唆――
    姉崎 正治, 山本 高郁, 三好 恵真子
    2014 年 25 巻 6 号 p. 445-453
    発行日: 2014/11/29
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー
    スペイン植民地時代のポトシ鉱山において,第五代副王トレド (1569~1581) は銀の抽出に水銀アマルガム製錬法を全面的に採用した。合わせて水力利用を軸とする鉱山都市計画を推進しつつ,従来の製錬法では処理されず廃棄されていた大量の廃鉱石や屑鉱石を原料とするアマルガム製錬を徹底することにより鉱山業の劇的復興を図った。その結果,5 年間で約 200 万ペソの銀を回収することが可能となった。一方,新技術導入後は,反応を終えた混合物の水洗選鉱後の鉱泥から逸失水銀の回収を推進し,年間 2,000 キンタルの回収水銀を再利用に供した。この量は年間消費量のおよそ 30%に相当する量であった。これら当時の廃棄物からの資源回収システムは,現代の循環型社会形成に向けての諸施策に示唆を与えると考えられる。なお,1545 年以降のポトシ鉱山の開発に伴う鉱害要因の中には,現在なお弊害を及ぼしている課題もあり,河川や底泥の重金属汚染がその一例である。
入門講座/廃棄物資源循環のための理化学基礎講座 6
平成26年度第1回研究部会セミナー報告
平成26年度第2回研究部会セミナー報告
平成26年度廃棄物資源循環学会第1回講演会報告
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