廃棄物資源循環学会誌
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特集:巨大災害廃棄物対策
広域巨大震災時の自治体支援受援体制と廃棄物対策のあり方
中林 一樹
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2015 年 26 巻 5 号 p. 369-381

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抄録

本論は,南海トラフ地震や首都直下地震等の超広域巨大災害時の災害廃棄物対策のあり方を考察した。災害廃棄物とは,日常廃棄物とは異なり,被災者には思い出や生きた証としての価値をもっているため,処理の初動段階では迅速な処理よりも被災者の思いを尊重した対応が重要である。処理の段階では,迅速な処理とともに環境悪化の回避と地域環境の保護に重点を置いた取り組みが必要である,そのためには,超広域巨大災害であるほど,残された資源の公平で有効な活用が不可欠であり,都道府県をリーダーとする県・市町村・民間事業者のグループを支援活動単位として,都道府県と国とが支援受援の体制づくりを調整する仕組みの構築が必要である。一方,受援体制は市町村が受援単位となるため,自治体は自らが被災して行政機能が低下することを想定した,災害廃棄物処理機能継続計画 (廃棄物 BCP) の検討が不可欠である。

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© 2015 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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