抄録
最終処分場の安全性を考える上で,埋立地の安定化は重要な視点であり,適正な維持管理による早期の安定化が望まれる。しかし,埋立地の安定化状況を把握するための調査方法は多くの研究機関でさまざまな調査手法が検討されているが,一般化されるまでには至っていない。そこで本報では,福井県内の管理型最終処分場を対象に 2005 年から実施しているモニタリング調査を参考事例とし,調査手法の概要と得られた知見を紹介する。安定化は「塩類洗い出し」, 「塩類不溶化」および「有機物分解」の各プロセスで進行するため,埋立地内部の塩類賦存量と有機物分解状況を把握することが重要である。また,埋立地内部はさまざまな廃棄物が混在して不均質であるため,局所的な調査のみでは全体を評価できない。そのため,誤った評価をしないためには複数の手法を組み合わせた解析が有効である。さらに,長期的な安定化挙動を把握するには定期的なモニタリングが必要である。