抄録
埋立ガスの組成や量の調査は,埋立廃棄物の安定化を間接的に示し,廃棄物最終処分場およびその周辺域の安全を担保するのに不可欠である。本稿では,最終処分場の維持管理,廃止に加えて地球温暖化の視点から,埋立地ガス調査の現状と筆者の調査事例を紹介しながら,それぞれの評価にかかる課題を提示した。
ガスフラックス調査は,日変動が大きいガス抜き管で短時間での調査を避ける必要があり,ホットスポットと呼ばれるガス放出点の探索が維持管理の上で重要であることが示された。埋立地ガスの濃度を調査する上では,ガス抜き管を対象とするだけでなく,場内観測井等で廃棄物層内のガスを観測するとともに,内部保有水の pH を併せて測定することで,硫化水素や二酸化炭素等の酸性ガスの放出に関しても確認できる。