抄録
高齢者のごみ出しをめぐる問題を整理し,自治体による支援の状況を全国アンケート調査 (有効回答:1,137) の結果から概観した。高齢者のごみ出し支援の導入率は,全世帯の収集を直営で行っている自治体が委託の自治体より高いこと,全世帯で戸別収集をしている自治体でも高齢者支援が必要であることなどを示した。ごみ出し支援のタイプを (A) 直接支援型・直営タイプ,(B) 同・委託タイプ,(C) コミュニティ支援型,(D) 収集日以外でもごみが出せる仕組みに分類し,それぞれ自治体の事例を紹介した。また,各支援タイプの特徴を ① 担い手の確保,② ごみの運搬範囲,③ コストの内訳,④ 地理的なカバー範囲,⑤ 見守り・安否確認,⑥ 支援する側の副次的効果,⑦ 支援される側の意識の各観点から整理した。結果,高齢者のごみ出し支援に取り組む自治体は,現状の収集体制や地域の状況を踏まえ,各支援タイプの特徴を理解した上で,制度の設計を行うことが望ましいとの結論を得た。