廃棄物資源循環学会誌
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特集:最終処分場からの POPs およびその候補物質の浸出実態の把握手法および長期的な溶出予測手法の開発
廃棄物処分場浸出水中の PCNs,PFASs,HCBD および HBCD 濃度の実態把握に向けた国内外における研究動向
矢吹 芳教 遠藤 和人
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2021 年 32 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

われわれの生活から排出されるごみは中間処理を受けた後,廃棄物処分場に埋め立てられる。廃棄物の最終処分場は,都市鉱山と称され注目されているように,さまざまな物質の蓄積場所となり,POPs 等の化学物質についても例外ではない。過去に,あるいは現在の中間処理を経て埋め立てられたこれらの化学物質は,長期にわたり最終処分場浸出水中から検出される可能性を有している。国内や海外の先行研究をレビューした結果,PFOA や PFOS を含む PFASs については,最終処分場浸出水中から数千 ng/L のオーダーで検出される可能性があること,HBCD および HCBD については,数十 ng/L の低濃度の報告にとどまっていること,PCNs については,濃度実態の把握がほとんど進んでいないことが明らかとなった。また,POPs の中でも水処理が困難な PFASs の除去として,活性炭吸着,光触媒および RO 膜処理が有効であることも報告されている。しかしながら,POPs の浸出水中の濃度実態の把握および処理過程での消長に関する研究結果が十分に蓄積されていないことは大きな課題であり,長期間にわたり廃棄物処分場の POPs に関する安全性を確保するためには,排出される浸出水,浸透水およびその処理水についての実態把握・モデル構築が必要である。

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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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