廃棄物資源循環学会誌
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特集:最終処分場からの POPs およびその候補物質の浸出実態の把握手法および長期的な溶出予測手法の開発
最終処分場浸出水中の PCNs および HCBD の効率的な分析手法の構築と濃度実態
伊藤 耕二 小野 純子
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2021 年 32 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

ポリ塩化ナフタレン (PCNs) およびヘキサクロロブタジエン (HCBD) は,溶媒やゴム製品等の添加剤として用いられてきた。これらの物質は,COP7 以降,新たに POPs に指定されたが,いまだに意図的・非意図的を問わずさまざまな工業製品中に残留して最終処分場に廃棄されている可能性は高い。さらに PCNs は PCB と構造が類似であり,燃焼副生成物として焼却残渣中にも含まれている。最終処分場の長期的な適正管理に資するため,これら POPs の処分場浸出水中における濃度実態と排水処理過程での消失過程を明らかにした。全国各地で実態を効率的に把握するため,分析手法の構築にあたっては既に基準値等があり測定頻度の高い分析項目 (ダイオキシン類,VOC および 1,4-ジオキサン) と統一の方法で同時に分析可能な手法開発を目指した。浸出水の PCNs 濃度は数 pg/L ~数百 pg/L,HCBD は MDL (0.015 μg/L) 未満であった。PCNs は排水処理で除去され放流水では数 pg/L に減少した。

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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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