廃棄物資源循環学会誌
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特集:最終処分場からの POPs およびその候補物質の浸出実態の把握手法および長期的な溶出予測手法の開発
焼却残渣に含まれるポリ塩化ナフタレンに関する研究動向
水谷 聡 伊藤 耕二矢吹 芳教
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2021 年 32 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

廃棄物の焼却残渣および工業的加熱プロセスから発生する残渣 (セメントキルンでの飛灰やクリンカー,鉄鋼や非鉄金属の二次精錬から発生する残渣) に含まれるポリ塩化ナフタレン (PCNs: polychlorinated naphthalene) に関する研究動向をまとめた。また著者らが行なった PCNs の研究結果も併せて述べた。残渣中に含まれる濃度は,一部の試料を除いて,同じようなレベルであった。同族体・異性体分布に基づいて統計的解析を含めて多くの検討が行われていたが,製品系と燃焼系の PCNs を完全に区別することや,塩素化反応経路を特定することは難しいようであった。ダイオキシン対策として行われている加熱脱塩素化処理は PCNs の分解,脱塩素化,毒性の低減に有効であることが示唆された。ごみ焼却における PCNs の排出係数の報告値は 1 ~ 48,600 μg ton−1 と幅が広く,さらなる検討が必要である。

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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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