抄録
2050 年カーボンニュートラルに向けて国内外で多くの制度や計画が動いていること,ならびに脱炭素における資源循環の位置づけや期待を概説した。「気候変動に関する政府間パネル」 (IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change) の第 6 次評価報告書 (AR6) は,20 世紀半ば以降の温暖化の主な要因は,人間が原因であることに議論の余地がないこと,世界の気温を 1.5 ℃ に抑えることで,近年発生している 50 年に一度と表現されるような極端な高温現象の発生する確率を 30 % 程度減らしうる,と述べており,国際的な動きとしては,こうした見解に沿った取り組みが行われつつある。日本でも 2050 年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し,2030 年度においても 2050 年目標と整合性のある目標で諸政策がすすめられつつある。あらゆる産業が脱炭素社会に向けた大競争時代に突入した今,プラスチック資源循環はじめ,脱炭素にとって不可欠な資源循環の深化を念頭においた技術・システム構築を目指すことが重要である。