抄録
保育所における使用済み紙おむつの処理方法については,国や自治体で明確な規定はない。本研究では,保育所における使用済み紙おむつの処理の現状について明らかにすることを目的とした。
質問紙調査の結果から,使用済み紙おむつの持ち帰りをしている保育所は 26.5 % (22/83) であった。持ち帰りをやめた場合,保護者や保育士の負担が軽減されるなどの利点がある一方で,保護者がおむつの使用枚数や便から子どもの体調管理ができない,費用面の問題,保管スペースや臭いの問題等が生じることがわかった。おむつ交換時の汚染状況調査からは,持ち帰りをしているかどうかにかかわらず,周囲への汚染が生じており,マニュアルを作成するなど施設で交換手順を標準化させる必要性が示唆された。
本研究から,保育所での使用済み紙おむつ処理の現状と課題が明らかとなった。今後は,廃棄物処理および,感染防止の双方の視点から対応することが求められる。