2024 年 35 巻 5 号 p. 325-330
近年プラスチックごみの問題が深刻になり,プラスチックのリサイクル技術の開発は急務である。プラスチックのリサイクル技術として,サーマルリサイクル,マテリアルリサイクルが大部分を占めるが,炭素循環を考えた場合,ケミカルリサイクルは必要不可欠の技術であり,また,二酸化炭素削減やエネルギー削減の観点からも十分なポテンシャルを有すると期待される。特に,プラスチックの大部分を占める炭化水素系プラスチック(ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル, スチレン系樹脂)のケミカルリサイクル技術の開発が必要不可欠である。そこで,本稿では,プラスチックのケミカルリサイクルの現状と,近年注目を集めている触媒を用いたポリオレフィン系プラスチックの水素化分解技術の研究動向について概説し,さらに,最新の技術としてわれわれの固体触媒技術について説明する。