廃棄物資源循環学会誌
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特集:プラスチックの持続可能な原料確保に向けたポテンシャル
アクリル樹脂(Poly-Methyl-Methacrylate)のリサイクルプロジェクト
和氣 孝雄小山 浩士山﨑 和広
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2024 年 35 巻 5 号 p. 331-340

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抄録

プラスチックの大量生産・大量消費・大量廃棄は,気候変動や資源枯渇の問題を深刻化させている。2015年には,全世界でのプラスチック生産量が年間約4億 tに達し,その廃棄量も年間約3億 tにのぼった。先進国では「物質的な豊かさ」への欲求が高まりつづけ,また新興国では人口増加と経済成長により,プラスチックの消費活動がますます拡大し,廃棄物の増加が予想されている。

 住友化学は,さまざまな環境負荷低減技術の開発を通じて,二酸化炭素排出量の削減や化石資源の使用量抑制,資源循環等,持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。特にアクリル樹脂(PMMA) では,高い収率で MMA モノマーが得られる分解特性を活かしたケミカルリサイクルに注力している。二軸押出機を用いた高効率熱分解プロセスを(株)日本製鋼所と共同で開発し,早期の社会実装を目指している。この技術により,従来の PMMA と同等の品質を保ちながら,二酸化炭素排出量を大幅に削減できる見込みである。さらに,住友化学は地方自治体との地域内資源循環プロジェクトや,ブランドオーナーとの共同取組を通じて,リサイクルを推進し,持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めている。

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© 2024 一般社団法人 廃棄物資源循環学会

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