2025 年 36 巻 2 号 p. 139-146
放射性物質を含む高炉セメントB種とジオポリマー硬化体からの水素分子(H2)発生量を見積もるため,崩壊熱を模擬して室温から90℃の異なる温度で試料をγ線照射・保持し,照射から4週間までの期間にその積算GH2値を求めた。その結果,セメントの場合はγ線照射時に発生したH2が試料体内拡散律速で試験体外に放出していることがわかった。その積算GH2値は90℃照射・保持試験体で0.45に達し,照射後4週間で放出しおわる様子は確認できなかった。また,飛灰が混入すると,その値は約4倍にも上昇した。硬化体中の化学結合水から,液体水より大きなGH2でH2生成することが明らかになった。一方,ジオポリマーの場合は照射後,室温であってもすぐに試験体外へすべてのH2が放出され,そのGH2値は最大0.2であった。飛灰を導入すると試験体内拡散律速の様子がみられたが,セメントの場合のようなGH2の増加はみられなかった。