MEDCHEM NEWS
Online ISSN : 2432-8626
Print ISSN : 2432-8618
ISSN-L : 2432-8618
特集:創薬の可能性を広げる先進的DDS研究
薬物送達と細胞機能制御のための機能性ペプチド修飾型エクソソーム技術
中瀬 生彦
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 30 巻 1 号 p. 37-42

詳細
抄録

細胞分泌小胞を介した細胞間コミュニケーションが大きく注目されている。なかでもエクソソームは細胞間の“飛び道具”として、がんの転移や脳神経変性疾患にも関わる重要な活性体として、その検出方法から機序解明、制御方法まで盛んに研究が進められている。一方でエクソソームは、薬学的な観点からの高い優位性(自己エクソソームを用いた免疫制御や活性分子カクテルの治療効果、遺伝子工学を用いたタンパク質制御や人工分子送達等)を有し、次世代の薬物送達キャリアーとして大きく注目されている。筆者らはこれまで、ねらった細胞に確実にエクソソームを届ける技術として、機能性ペプチド修飾型エクソソームの開発研究を展開している。本稿においては、化学的にも幅広い応用が可能であると考えられる人工ヘリックス認識ペプチドを用いたエクソソームの受容体標的技術を中心に紹介したい。本技術は、生体の既存の分子に邪魔されずに特異的に標的受容体の活性化を制御でき、将来の生体内治療への応用を指向した手法構築から始まったものであり、基盤となるヘリックス認識人工受容体の設計構築から紹介する。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top