MEDCHEM NEWS
Online ISSN : 2432-8626
Print ISSN : 2432-8618
ISSN-L : 2432-8618
DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会 MCS優秀賞 受賞
フラグメント創薬による中枢移行性を有する新規経口HDAC2阻害剤の開発
玉井 太一石川 俊平宮村 伸Emiliano TamaniniDominic Tisi
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 33 巻 3 号 p. 127-131

詳細
抄録

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、エピジェネティックな遺伝子の制御において重要な役割を果たし、神経変性疾患など、多くの疾患の治療標的として注目されている。特にHDAC2はヒストンアセチル化の低下と、それに伴う学習・記憶に関連する主要遺伝子の発現低下への関与が報告されており、中枢移行性を有するHDAC2阻害剤を開発することが、神経変性疾患の治療に有益であることを示唆している。筆者らは、フラグメントベース(FBDD)を首尾よく活用し、新規で中枢移行性と活性を兼ね備えるHDAC2阻害剤を見出した。タンパク質-リガンド複合体X線結晶構造情報を利用した構造ベース創薬(SBDD)により、中枢薬として適したプロファイルを維持しつつ、初期のフラグメントヒットから活性を大幅に改善させ、 in vitroおよびin vivoにおいて薬効を示すリード化合物へと導いたので紹介する。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top