当科での卒後臨床研修の実状を把握し, 研修期間に特に伸ばしたい能力とは何か, それを伸ばすために指導医は今後どのように研修医と向き合うべきかについて, 質的研究法を用いて検討した. 富山医科薬科大学附属病院第3内科で研修中の研修医7名に対し, 生活実態調査, グループ面接, アンケート調査, 半年間の参与観察を行った. 得られたデータと事例分析から, 研修期間に伸ばしたい能力として「患者さんの近未来を予測し物語ることのできる力, 〈見立て力〉が重要である」とする仮説を生成した. これに基づき, 研修医の見立てを繰り返し聞くことを意識的に実践してみたところ, 指導医の一方的な指示は減り, 研修医は指示的介入を受けることなく問題を抽出し解決できる場面が増えた.