抄録
本稿の目的は,近年発音の目標としても多く取り上げられるようになった「明瞭性(intelligibility)」を扱う際の留意点を,概念的観点から,方法論的観点からまとめ,提示することである。構成概念としての明瞭性と関連する概念である理解性の定義を,先行研究からまとめた。次に,明瞭性・理解性の評定方法について整理し,その問題点・留意点などを指摘した。最後に,明瞭性という言葉が日常語化する中で,L2 speech研究における発音の明瞭性を検討する際には十分に注意を重ねて分析・考察を行わなければならないことを強調した。