日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G1-04
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G1 惑星科学
中国の隕石衝突構造の研究
*三浦 保範胡 夏高李 建保
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キーワード: 隕石衝突構造, 中国, 青海湖
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抄録
1.はじめに:大きな中国大陸には落下隕石が多いが、隕石衝突孔は報告されていない。2002年度山口大学日中学術交流基金(旅費)の一部援助で中国科学院天地研究所と共同調査したところ、砂漠の隕石や隕石衝突孔の発見が中国側でなかったことが分かった。本報告では、2001年からの中国での隕石衝突孔調査(青海大学学長の協力による)の調査と分析結果の一部を報告する。
2.中国の隕石衝突孔の問題点:これまで中国の大半を占める低地に隕石衝突孔が報告されていないのは、2大河による破壊埋没によると考えられる。高地に比較的残存している可能性が高いので、4千m級の高地の青海省地域を選んだが、国家的事業をしている近くなので、道路から奥地はいることは学術研究調査であっても困難であり、現地の中国人の強力な協力がないと実現が困難であった。事前の衛星画像と地質図の解析でも、大陸的な隕石衝突孔が高地でも少ない。その理由は、3小大陸が合体して現在の中国大陸が形成されているため、最初の衝突地形の破壊が進んでいると考えられる。日本と同じように、中国でも衝突起源の物質の回収が、隕石衝突構造研究の第一となる。現地で提供された詳細な地質図から円形状分布をしている、青海湖と西寧市を候補地として、調査した。
3.候補地1―青海湖現在約60kmx30kmであるが、3孔の10kmサイズの構造が合体している。孔底も破壊されているため、湖水が流れ込むだけの異様な構造になっている。実験室で確認している衝突関連物質として、破砕岩、シャッターコーン、Fe-Ni含有粒子(Mg欠如)、破砕石灰岩、衝撃変成炭素物質などである。
4.候補地2―西寧市現在約20km径であるが、3つの河川と断層線で構造が破砕されている。中央丘状構造が残存している。実験室で確認している衝突関連物質として、破砕ガラス岩、シャッターコーン状岩石、シリカの多い岩石にK長石・Fe-Ni含有粒子がある。異様な物質として、岩塩・硫化物粒子などがあり、かなりの地殻変動を受けている。
5.まとめ:中国の隕石衝突構造の候補地として、衛星・地形・地質情報解析と、X線同定とASEM分析から、青海湖(破砕石灰岩中のFe-Ni粒子、シャッターコーンなど)と西寧市(破砕岩、Fe-Ni粒子)であることが分かってきた。
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© 2003 日本鉱物科学会
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