メソドロジー研究部会報告論集
Online ISSN : 2759-5684
教育実践のなかで集団に対する処遇の結果を適切に解釈するための定量的方法―効果量の利用とその限界点―
草薙 邦広
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2015 年 6 巻 p. 46-84

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抄録
外国語教育研究におけるデータ分析の手法は,2000年代よりめまぐるしいほど高度化している。しかしながら,日頃の教育実践のなかで,学術的知見や,それを支える高度なデータ分析の結果を適切に理解し,そして自らの意思決定に役立てることは容易ではない。たとえば,メタ分析などでもちいられる効果量(effect size)の根本的概念は,外国語教育に携わるものの実務的観点からみて,けっして親和性の高いものではない。そこで,本稿では,はじめに,実験計画法,統計的仮説検定,そして効果量とその信頼区間の算出といった方法について紹介し,これらが,集団に対する処遇の結果を解釈するという文脈における実務的な観点と,やや乖離しているいくつかの点(e.g., 解釈困難性,中心傾向への依存)について示す。つぎに,効果量を,より解釈が容易なかたちに変換した指標である効果偏差値(e.g., 伊藤, 1998)および優越率(e.g., 南風原, 2014; 南風原・芝, 1987)を紹介する。最後に,効果量のみでは解釈できない部分を補うための,いくつかのあたらしい定量的方法(e.g., 比較点,分位点回帰をもちいた分析法)を提案する。
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© 2015 外国語教育メディア学会(LET)関西支部メソドロジー研究部会
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