2007 年 14 巻 2 号 p. 201-207
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,血小板膜に反応する抗血小板抗体によって引き起こされる疾患であり, 最近, ヘリコバクターピロリ菌とITPの関連性について指摘されつつある. そこで今回ピロリ菌に関連したITPの病態を解明する目的で, 72例のITP症例につき, ピロリ菌感染とHLAクラスIIアリルの関係を検討した. 46例(63.9%)がピロリ菌陽性であり, 除菌治療によって26例(56.5%)が血小板数の改善を示した. HLAの解析では, ピロリ菌陽性群においてDRB1*0405, DRB1*0410およびDQB1*0401, DQB1*0402の頻度が陰性群よりも有意に高く, またDRB1*0901とDQB1*0303は逆にピロリ菌陰性群において高い頻度を示した. さらに, DQB1*0301は, 除菌効果が有効であったITP例において高頻度であった. 以上よりITP症例におけるピロリ菌除菌効果は, 一部の症例では特定のHLAクラスIIアリルと関連している可能性が示唆された.