日本組織適合性学会誌
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総説
第1回肺移植の免疫
伊達 洋至
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2008 年 15 巻 3 号 p. 263-271

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抄録

「はじめに」1998年10月に岡山大学において日本で初めての生体肺移植が成功し1), 2000年には東北大学2)と大阪大学3)で待望の脳死肺移植が始まった. その後日本の肺移植は着実な発展を遂げ, 2008年6月現在までに, 6つの肺移植施設(東北大学, 京都大学, 大阪大学, 岡山大学, 福岡大学, 長崎大学)で113例(生体69例, 脳死44例)の肺移植が行われた. 国際心肺移植学会が報告した肺移植23,716例の5年生存率は約50%である. 4)一方, 日本の肺移植数は少ないが, その成績は5年生存率約70%と良好である. 5)肺移植後のもっとも頻度の高い死亡原因は, 6ヶ月以上経過してから生じる慢性拒絶反応である. 2008年現在, 慢性拒絶反応に対する明らかに有効な治療法はない. そして, 急性拒絶反応が慢性拒絶反応の引き金となることが推測されていることから, 急性拒絶反応の適切な治療が慢性拒絶反応の予防となることが期待されている. ここでは肺移植の免疫について概説する.

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© 2008 日本組織適合性学会
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