日本組織適合性学会誌
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総説
第2回1型糖尿病の疾患感受性とHLA領域遺伝子
浜口 和之
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2008 年 15 巻 3 号 p. 249-262

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抄録

1型糖尿病は多因子疾患であり, 病因的に必ずしも均一な疾患ではないが, 主に自己免疫が関与しているため, 古くからHLA遺伝子の関与が知られていた. 近年のゲノムワイド相関解析でも, HLA領域の関与が最も大きいことが確かめられている. 一方で, HLA領域は多型に富み, 広い範囲にわたって連鎖不平衡を示す特異な領域であることから, 何が1次的な遺伝因子なのか, 長年にわたり議論の的となってきた. 現在のところ, HLA遺伝子ではクラスIIに属するDRB1遺伝子とDQB1遺伝子の多型の組み合わせで疾患の感受性/抵抗性が規定されていると考えられる. また, クラスIに属するHLA-B遺伝子もクラスII遺伝子とは独立した遺伝因子であるとする報告が多い. さらに, クラスIIIに存在する非HLA遺伝子も強い相関を示すが, 我々は2遺伝子座解析によりTNFA遺伝子はHLA遺伝子との連鎖不平衡により2次的な相関を示すこと, IKBL遺伝子は主に抵抗性に相関し, HLA遺伝子とは独立した遺伝因子である可能性を報告してきた.

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© 2008 日本組織適合性学会
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