2010 年 17 巻 1 号 p. 39-46
2006年12月までに東京都赤十字血液センター臍帯血バンクを介して移植が行われた患者391例についてHLAクラスI, クラスII抗体の検査を行い, 臍帯血移植における患者(レシピエント)HLA抗体と生着の関連性について解析した. 患者HLA抗体の特異性が臍帯血HLA抗原に反応しない場合, 抗体の有無による生着率の差は認められなかったが, 患者HLA抗体の特異性が臍帯血のHLA不一致抗原に反応する場合, 生着を認めたのは8例中4例で, 生着不全が多いことが確認された. この8例についてimmunocomplex capture fluorescence analysis(ICFA)法にて確認検査を行ったところ, 4例で陽性となり生着不全の結果と一致した. HLA不一致抗原を有する臍帯血移植前には患者のHLA抗体を高感度抗体検査法で検査し, 臍帯血のHLA不一致抗原が抗体と反応しないように選択することにより生着不全の危険性を回避することが期待できる. また, ICFA法はHLA不一致抗原を有する臍帯血移植における確認検査法として有用と考えられた.