2026 年 33 巻 2 号 p. 113-119
同種造血幹細胞移植では,患者とドナーのHLA適合性が,移植片対宿主病(GVHD),生着不全,非再発死亡および再発に関係する。従来,ドナー選択はHLA適合度を軸とする階層的な考え方に基づいていた。近年,移植後シクロホスファミド(PTCy)の普及により,HLA不適合血縁ドナーやHLA不適合非血縁ドナーを用いる移植の安全性が向上し,ドナー年齢,移植までの時間などの重要性がより高まった。ただし,PTCyによってHLA不適合の影響が消失したわけではなく,また,その臨床的意義は,血縁・非血縁,GVHD予防法,移植片の種類によって異なる。臍帯血移植では,HLA適合度に加えて,CD34陽性細胞数などユニットの品質が重要である。また,HLA不適合移植では,ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)が生着不全の重要な危険因子となるため,高解像度HLAタイピングと抗体特異性の照合が不可欠である。本稿では,HLA適合性の基本的な評価法を整理し,PTCy時代の血縁・非血縁者間移植,臍帯血移植,DSA評価,およびHLA検査室に求められる役割について,最新の知見をもとに概説する。