ミルクサイエンス
Online ISSN : 2188-0700
Print ISSN : 1343-0289
ISSN-L : 1343-0289
原報
酸カゼイン調製時に除かれる蛋白質成分におよぼすリン酸塩および2-メルカプトエタノールの影響
五十嵐 康雄中村 信吾
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 48 巻 3 号 p. 181-186

詳細
抄録

 酸カゼイン調製の際の水洗および再沈殿操作によって失われる成分とこの時のリン酸塩および2-メルカプトエタノ一ル (ME) の影響について調ベた。脱脂乳をpH4.6に調整してカゼインを沈殿させ, 2回脱イオン水または10 mM リン酸ナトリウム (pH4.6) で洗浄し, さらに溶解 (1%ME 処理), 再沈殿を3回繰り返した。洗液および再沈殿時の上澄中の蛋白質量およびその成分をそれぞれBradford法および尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動により調べた。最初の洗液中にはホエー蛋白質とγ-カゼイン, 2回目にはγ-, κ-およびβ-カゼインが含まれ, 量的にはホエー中の蛋白質の10%程度に相当した。リン酸塩の存在下ではβ-カゼインの遊離が抑制された。再沈殿時の上澄中にはγ-カゼインの他に多くの微量成分が含まれ, またME処理により上澄へのκ-カゼインの遊離が促進された。脱イオン水中ではこれに伴ってαs1-およびβ-カゼインの遊離も顕著であったが, リン酸塩の存在下ではこれらの主要カゼイン成分の遊離はわずかであった。

著者関連情報
© 1999 日本酪農科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top