ミルクサイエンス
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原報
バングラデシュの伝統的発酵乳“ダヒ”の品質評価
Md. Harun-ur-Rashid宮本 拓
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2005 年 54 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

 バングラデシュの 4 地域(ダッカ,マイメンシン,ジャマルプルおよびボグラ)から収集した伝統的発酵乳“ダヒ”の品質を評価した。伝統的な方法で製造されたダヒの28試料を各地域から任意に収集し,それらの化学的および微生物学的品質を各地域毎の試料についてまとめた。ボグラ地域から収集した試料は最も高い全固形分含量(38.24±4.37%)を示し,マイメンシン地域の試料は最も低い全固形分含量(29.82±4.61%)であった。全固形分含量はダヒ試料へのショ糖添加の有無によって大きく影響された。その他の化学分析項目のうち,脂肪含量(4.88±0.99%)とタンパク質含量(4.74±0.73%)はマイメンシン地域の試料において最も高い値であった。ダッカとジャマルプル地域からの試料は化学的および微生物学的品質において非常に似通っていた。微生物学的品質の分析結果から,ボグラとジャマルプル地域からの試料ではカビの汚染が見られなかったものの,すべての地域からの試料において酵母の汚染が認められた。ダヒ試料におけるカビや酵母の存在は,伝統製法で作られたダヒ試料の包装形態や衛生管理の不備あるいは不適切な流通システムに起因すると考えられた。

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© 2005 日本酪農科学会
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