ミルクサイエンス
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原著論文
小角X線散乱実験で利用されるカゼインミセルの構造モデルの再考察
高木 秀彰 中野 智木清水 伸隆青木 孝良谷本 守正
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2022 年 71 巻 1 号 p. 10-22

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抄録

 カゼインミセル構造は古くから研究が行われているが,現代でも内部構造について詳細は分かっておらず様々な構造モデルが提唱されている。小角X線散乱(SAXS)で得られるカゼインミセルのプロファイルの解釈についても様々な議論が行われている。本研究では,実験で得られたSAXSプロファイルとモデル計算で得られたプロファイルを比較することで,カゼインミセルの構造モデルについて再検証を行った。構造モデルとして,液体のようにサブミセルが振舞うモデル,サブミセルの凝集体から成るモデル,ミセル内にCCPがランダムに分散した単純なナノクラスターモデル,水チャンネルを内包するモデル,そして水ドメインを内包するモデルを利用した。さらに,Bouchouxらによって提唱された硬い領域を内包するモデル(Hard regionモデル,Biophys. J. 99, 3754-3762)について詳細に再検証を行った。Hard regionモデルは計算モデルの解釈を変更することで,水ドメイン内包モデルに改良できることが分かった。計算結果から,単純なナノクラスターモデル以外のSAXSプロファイルは計算によって実験プロファイルを再現できることができた。しかしながら,fittingで得られたパラメータを比較したところ,水ドメイン内包モデルがもっとも合理的であることが分かった。

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