ミルクサイエンス
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原著論文
中性子小角散乱法を利用したカゼインミセル構造の評価
高木 秀彰 中野 智木青木 孝良谷本 守正
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2024 年 73 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

 牛乳内のカゼインミセル構造は現代でも未解明である。本研究では主に中性子小角散乱法(SANS)を利用してカゼインミセル構造を調査した。凍結乾燥させた脱脂乳に,様々な割合の D2O/H2O 混合水を加えて乳に戻した試料を使用した。SANS プロファイルと X 線小角散乱(SAXS)実験で得られたプロファイルを比較したところ,SANS と SAXS ではプロファイルの形状が一致しないことが分かった。散乱長密度計算からミセルと乳清は D2O/H2O=40/60でマッチングすることが分かった。SANS と SAXS プロファイルの形状が異なる原因を議論したところ,我々が提唱している水ドメイン内包モデルに周期17.9 nm のチャンネル構造を考慮したモデルが SANS プロファイルをほぼ再現できることが分かった。

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© 2024 日本酪農科学会
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