ミルクサイエンス
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原著論文
Lactobacillus gasseriが生産するバクテリオシンおよびBLISの特性とその長期保存性
高 升脇本 彩加原田 悠輝内藤 豪廣田 琴美田島 遥希石渡 深聖高橋 礼実井上 雄大岡井 里夏齋藤 美佑杉山 蓮森 文英井戸 響太小暮 彰太田邉 智也中山 詠文松本 典吉田 朱里淺野 萌々花今西 一果齋藤 朱音徳永 葵納谷 遥南福田 康成渡邉 莉帆石井 克海加山 航平木村 柊吾西村 栄実花日髙 美月川井 泰
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2024 年 73 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

 乳酸菌Latobacillus gasseriおよびLactobacillus paragasseriにはバクテリオシン(ガセリシンA, T, S:GA, GT, GS)生産株が存在し,Lb. gasseri JCM 1017, JCM 1019,およびJCM 5814にも抗菌物質の生産が認められている。本研究では,上記3菌株が生産する抗菌物質のプロテアーゼ感受性試験,熱・pH耐性試験,SDS-PAGE後のin situ抗菌活性試験を行い,既知の3種のガセリシンも含めて,各温度・pH環境下における長期保存性について検討した。その結果,3種の抗菌物質は供試プロテアーゼにより失活し,SDS-PAGE後のin situ抗菌活性測定によりガセリシンと分子量が異なるペプチド(バクテリオシン様抗菌物質:BLIS)であると推定された。また,全BLISは広域なpH安定性と,121℃, 15 minの条件でも活性が残存する耐熱性を有していた。長期保存性試験では,酸性(約pH 3.8),中性に関係なく,37℃保存で全ガセリシン(GAのpH 3.7を除く)とBLISは21週以内に失活したものの,4℃および-20℃下では130週経過後も抗菌活性が検出された。以上より,GA, GT, GS,および3種のBLISは食品保存剤としての高い利用性を有すると考えられた。

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