酪農科学・食品の研究
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原報
Heparinの血液凝固阻止作用に及ぼすlactoferricinの影響
折笠 修三
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1995 年 44 巻 3 号 p. A-99-A-105

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抄録
 マウスの全血を用いて,sodium heparin の抗凝固作用に及ぼす protamine sulfate 及び lactoferricin の影響並びに血液凝固及び血球計で測定したみかけの血球数に及ぼすこれら薬物の影響を検討した。
 1)高用量の lactoferrin 及び lactoferrin 分解物は sodium heparin の血液凝固阻止作用を阻害した。Protamine sufate及び lactoferricin は,sodium heparin の血液凝固阻止作用を低用量で阻害し,両者の効力はほぼ同じであった。
 2)Sodium citrate の血液凝固阻止作用に対して lactoferricin は影響を及ぼさなかった。
 3)Protamine sulfate と protamine は,ほぼ同程度の血液凝固阻止作用を有していたが, lactoferricin の血液凝固阻止作用はこれらの薬物より弱かった。
 4)Protamine は,血球計で測定した見かけの血小板数を減少させ,見かけの白血球数を増加させた。 Lactoferricin も類似の作用を有していたが,効力は protamine より弱かった。
 これらの結果から, lactoferrin の抗へパリン効果における主要部位は lactoferricin に相当すると思われる。また,lactoferricin は protamine 類と同程度の抗へパリン作用を有するものの, lactoferricin をへパリン括抗薬として用いた場合,血液凝固阻止作用や見かけの血球数に対する作用などの副作用は, protamine 類より弱いと思われる。
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© 1995 日本酪農科学会
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