本稿では,現在進行中の文部科学省科学研究費補助金新学術領域「医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化」において,われわれが担当している課題「計算解剖モデルの構築」の研究内容の目的や概要,ならびにその成果の一部を紹介する.本研究では,計算解剖モデルの構築と応用に着目して,CT画像やPET画像における人体の解剖学的構造の自動認識と分析を目指している.本稿では,具体的には,体幹部CT画像からの汎用的臓器の位置検出法の提案,形状モデルに基づく腹部筋肉の自動抽出法の開発,椎体の位置検出法の提案,およびFDG-PET画像における正常体幹部のSUV分布モデルの構築について簡単に紹介する.大規模な画像データベースを用いた実験の結果から,提案したこれらの手法の有効性が示されている.