抄録
計算解剖学の応用目的のひとつは臨床画像の頑健な理解である.そのために,臓器形状をはじめとする解剖学的構造物に対し,さまざまな数理に基づくモデルが提案されている.本稿では,まず解剖学的知識の最小単位としての解剖学的ランドマークに関し,その位置決定のあいまい性の問題について述べ,これを定量化する手法について紹介する.次に,形状データの位置合わせ手法である非剛体ICP(iterative closest point)アルゴリズムに対して,臓器形状の統計表現である統計的形状モデルの導入と外れ値の考慮による頑健化について述べる.最後に形状の統計の一例として,変分原理に基づく点群データおよび濃淡画像により表現される形状の平均の計算法について述べる.以上の3項目について,それぞれ臨床データを用いた実験結果とともに紹介する.