抄録
X線の発見以降,X線を用いたイメージングは医療分野をはじめ,さまざまな分野で利用されてきた.このイメージングは物体における吸収される度合いの差を利用しているが,生体の軟部組織を構成する水素,炭素,窒素,酸素などの低原子番号領域ではその差が小さく,有効な画像を作成することは難しい.近年,X線干渉計を用いた位相コントラストX線撮像装置が開発されている.従来のX線イメージングと比べ,低原子番号領域で約1,000倍高い感度が得られるため,無造影で生体や有機試料の観察が可能である.本研究では,従来のX線イメージング法では描出が不可能であったラット脾臓の内部構造を,位相コントラストX線CTで可視化できた.特に,免疫細胞の存在する白脾髄や,赤脾髄などの構造を弁別でき,これは組織画像と非常に類似していた.