抄録
従来のX線吸収イメージング法は物質ごとの線吸収係数の差を検出して画像化しているが,軽元素からなる生体軟部組織の吸収差は小さく,無造影での弁別が困難である.一方,X線の位相シフトを検出し画像化する位相コントラスト法では,軽元素に対する感度がX線吸収イメージング法より約1000倍高く,軟部組織を非破壊的に描出することができる.本研究では結晶型・位相コントラストX線CTを用い,ホルマリン固定した正常ラットの精巣を撮像した.結晶型・位相コントラストX線CTで,精巣内に存在する直径100~200μmの精細管や微小血管,周囲の精巣中隔,白膜および精巣上体を無造影で描出することができた.これら構造は,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で得られた光学顕微鏡・組織像と非常に類似していた.ゆえに,精細管に関連する精巣を結晶型・位相コントラストX線CTにて簡便に評価できる可能性が示唆された.