2017 年 35 巻 3 号 p. 140-145
本論文では,乳腺画像診断領域におけるCADの現状と今後の可能性について述べることとする.画像診断において,第一選択となる診断モダリティーは原発臓器によって異なっており,他のがんと比較すると,現状乳腺診断においては,多くの診断モダリティーを要する特徴がある.乳腺におけるCAD(コンピューター検出支援)は,アナログ画像を用いたスクリーニングマンモグラフィーを対象として開発が開始された.その後,超音波,MRIとDBTなどのCADも同様にコンピューター検出支援を目的として開発され,近年これらの検出成績に関して報告がなされている.乳腺画像診断における検出支援機能としてのCADは,他原発がんの画像診断と比較してより多くの必要性を有しており,将来的には単独の診断モダリティーに対応したCADではなく,マルチモダリティーに対応した統合機能を有するCADが必要とされる.また,近年においては,コンピューター検出支援を目的としたCADではなく新しいCADの機能として,乳腺濃度に関する自動解析システムの臨床応用について検討されてきており,それらの成績等についても紹介する.