2018 年 36 巻 5 号 p. 238-242
本邦には約70万人の慢性関節リウマチ患者が存在し,また毎年数万人が発病する.リウマチは早期治療による予後の著しい改善がみられるが,リウマチの進行度に応じた適切な治療を行う必要がある.リウマチ進行度診断では,年に数回関節レントゲン画像を撮影し,関節破壊進行度mTSスコアを算出しているが,手動であるため膨大な作業時間を要し,また,スコアは主観的評価であるため自動化,定量化の需要が高まっている.本稿では,mTSスコアの自動推定を目的とした手X線画像からの手指関節自動検出法を提案する.また,サポートベクター回帰による手関節X線画像からのmTSスコア推定とその評価を行う.特徴量として関節周辺画素のHOG(histograms of oriented gradient)を用いた.90 名のリウマチ患者手X 線画像に提案法を適用した結果,81.4%の精度で手指関節を自動認識できた.また,mTSスコア推定結果から,サポートベクター回帰によるmTSスコアの推定が可能であることが示唆された.